お役立ちコラム
消防設備とは? 病院や学校など公共施設の設置基準も解説
暮らしの中で消防設備を目にする機会があっても、正しい利用法や設置基準を理解している方は少ないのでないでしょうか?
消防設備の知識は、有事の際にとても役立ちます。私たちの命を守る重要な設備だからです。
消防設備の種類や設置基準について、暮らしに親和性の高い施設を中心にまとめました。
消防設備の正しい知識を身につけて、日頃から身を守る意識を持ちましょう。
目次
消防設備とはなにか?消防についての基礎知識
消防設備とは、大きく分けて3種類に分類されます。
● 消防の用に供する設備
● 消防用水
● 消火活動上必要な設備
さらに、消防の用に供する設備は警報設備・避難設備・消火設備に分かれます。
警報設備の身近な例には火災報知器が挙げられるでしょう。
火災を素早く察知し、周囲に避難を促す装置です。
これらの消防設備は消防法などで定められる「消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な設備」の総省を指します。
一言で「消防設備」と表しても、さまざまな設備が含まれている点を理解しておきましょう。
消火設備とは?用意しておくべき設備を覚えよう
消防設備の中で、家庭に用意しておくべき設備はどれでしょうか。
消火器は一般家庭への設置は義務ではありません。
公共施設や娯楽施設、福祉施設など大勢の利用者がいる施設への設置が義務づけられています。
スプリンクラーも建物の大きさや収容人数によって、公共施設などには設置義務がありますが、家庭への設置義務はありません。
素早い消火活動ができるか不安な方はスプリンクラーを取り入れるか検討してみてもよいでしょう。
火災に備えた警報設備!正しい使い方は?
火災報知器には自動火災報知設備とガス漏れ火災報知設備の2種類があります。
自動火災報知設備は火災による熱や煙、炎を早い段階で察知し、危険を知らせる設備です。
一般の家庭に設置されているのは自動火災報知設備で、種類によって耐用年数が異なるので、耐用年数を超えていないか定期的に確認しましょう。
ガス漏れ火災報知設備はガス漏れが発生した場合に一早く気づき、警報を発信します。
地下街や不特定多数の利用者が想定されるビルには設置が義務づけられています。
病院や学校でよく見られるのが非常放送設備がある火災報知器です。
赤いボックスの中央にボタンがあるタイプを知っている方は多いのではないでしょうか?
火災に気づいた場合、一早く建物内にいる人たちに知らせる必要があります。
ボタンを押すと警報が鳴り、自動でボタンが押された場所が放送され、建物のどの位置で火災が起きているか知らせます。
火を確認したらためらわずにボタンを押しましょう。
忘れがちな避難設備!使用法を確認しておこう
避難設備とは避難すべり台や避難はしご、救助袋を指します。
火災などが発生した場合、建物から避難するのに必要な設備です。
それぞれの機能を紹介しましょう。
● 避難すべり台:建物に固定されている場合が多い、避難用のすべり台。避難時には順番にスロープを滑り降りる。
● 避難はしご:普段は箱にしまわれており、使用する際にはしごとして設置をする。
● 救助袋:上層階から袋を垂らし、中を滑り降りる方法で避難をする。地上まで垂直に降りるタイプと傾斜がつくタイプがある。
重要なのはどの避難設備も慌てず落ち着いて使用する点です。
他の利用者と接触するなど、思わぬ怪我につながる場合もあります。
平常心を忘れずに行動しましょう。
消防法における消防設備設置義務
消防法では消防設備の設置義務が定められています。
建物を役割ごとに1~6の号数に分け、避難に時間を要したり、自力での避難が困難が利用者がいる想定の建物ほど、設置義務の基準が厳しく定められています。
多くの利用者が想定される大型の建物では、避難にかかるスピードが人命救助の鍵となります。
消防設備が、緊急時に正常に作動するには、設置義務が守られている必要がある点を覚えておきましょう。
消火器の設置基準
消火器の設置基準は、建物の大きさと機能、耐火構造か非耐火構造かで設置基準が異なります。
これらの条件は必要な耐火能力単位を計算するのに必要な情報です。
例えば劇場や映画館、地下街など不特定多数の利用者が想定され、密閉性の高い場所の場合は広さに関係なく消火器の設置義務があるので覚えておきましょう。
自身が利用者だった場合、消火器が設置されている点を覚えておけば、周囲がパニックになった場合も慌てずに対処できます。
スプリンクラーの設置基準とは?どんな場所に必要?
スプリンクラーの設置は建物を次の3つに分類し、基準を定めています。
● 階数が11階以上
● 階数が4階~10階
● 階数が1階~3階
スプリンクラーが火災を初期のうちに消火するのに重要な役割を果たします。
自力での脱出が容易であるかが着眼点となります。
火災発生時に避難が困難な場所ほど、スプリンクラーの設置が義務付けられていると考えるとよいでしょう。
火災報知器について覚えておきたいこと!設置義務とは
火災報知器は、すべての住宅に設置義務があります。
2006年:新築住宅への設置が義務化
2011年:すべての住宅への設置が義務化
以上の流れから、住宅によって設置された年は変わりますが、特に寝室や階段など、火災に気づき次第素早く避難する必要がある場所への設置が義務付けられています。
家庭での火災報知器は多くの場合警報が鳴り、火災を知らせる仕組みです。
特に就寝時は、子どもや年配者の場合、警報に気づいても自力で脱出できない場合があるので、必ず脱出の介助ができる者が近くで寝るようにしましょう。
避難器具の設置基準
避難器具は建物の大きさの機能によって設置基準が定められています。
特に上層階がある建物で、病院や学校など、利用者の自力での脱出が困難な場合は、設置基準となる収容人数が少なく見積もられています。
映画館と病院を比較してみましょう。
● 映画館:2階以上の建物・収容人数50人以上・200人につき1つ
● 病院:2階以上の建物・収容人数20人以上・100人につき1つ
避難に時間がかかると想定される利用者の場合はそれだけたくさんの避難器具が必要です。
避難を援助する場合も想定されるので覚えておきましょう。
まとめ
消防設備にはさまざまな種類があり、設置基準も異なりますが、重要なのは人命に関わる設備である点です。
消防設備が基準通り正しく設置され、正常に機能するからこそ、火災などの災害に一早く気づき、安全な避難ができます。
消防設備の役割と設置基準を理解し、有事の際は正しい行動が取れるよう、認識を深めましょう。