お役立ちコラム
呼び水とは?原理や方法から水が出ない時の確認事項までを解説!
皆さんは、呼び水という言葉を聞いたことがありますか?
呼び水は、ポンプを動作させる上で重要な役割を持つ作業の1つです。
また、呼び水を怠ると、ポンプを動作させたにも拘らず水が出ないケースもしばしば見られます。
今回は、呼び水に関する物理的な原理や具体的な方法から水が出ない時の確認事項までを解説します。
目次
呼び水とは?原理や方法から解説!
JIS B0131によると、呼び水は始動前にポンプ及び吸込管内を満水にすることと定義されています。
では、呼び水を行うとどのような効果が生まれるのでしょうか。
本項では、呼び水に関する物理的な原理と具体的な方法を解説します。
呼び水の原理を教えて!
呼び水は、JISの定義よりポンプや配管内の空気を抜き出す行為だという解釈が可能です。
運転前のポンプや配管には多くの空気が存在します。
特に、吸込管内に空気が多く残っていると、水が外部に排出されないケースも少なくありません。
上記は、液体と気体の性質の違いに関係しています。
気体は、液体に比べて分子の運動量が活発で、膨張性や伸縮性に富む性質を持ちます。
ポンプと貯水槽の間に位置する吸込管が空気で満たされていると、気体の性質からポンプの吸込力を和らげてしまい、配管の先にある水に力を伝えることができません。
そのため、ポンプの始動前に内部を呼び水で満たし、外部に空気を逃がす必要があります。
呼び水の具体的な方法は?
呼び水を行う具体的な方法は、以下の通りです。
ポンプの電源コードを抜く
呼び水を行う最初のステップは、ポンプの電源を抜くことです。
理由は、予期せぬポンプの動作により作業における安全性が損なわれたり、ポンプの空回しにより内部破損の原因につながったりするからです。
そのため、呼び水を入れる際は必ずポンプが運転できない状態にするように注意を払う必要があります。
呼び水口から水が満水になるまで注ぐ
ポンプには、呼び水口が設けられていることが多く、ジョウロなどで水を注ぎます。
この時、内部の空気を逃がすため、呼び水が少し溢れる程度まで入れると
上手く空気を抜くことができます。
そのため、周囲に水に弱い部品がある場合は、予め水に濡れないように準備しておくと良いでしょう。
空気が出なくなるまでポンプを運転する
呼び水を満水まで入れたら、電源コードを差し、ポンプの運転準備に入ります。
ポンプの運転は、ポンプや配管の内部に水を充満させ、空気を外部に放出するために行います。
そこで、ポンプの排出口から流れる水の滑らかさや水圧の安定性を確認すると良いでしょう。
このように、呼び水を安全に留意しながら確実に行うと、ポンプの正常な働きにつながるといえます。
水が出ない時は何を確認すればよい?
呼び水は、ポンプから水を確実に排出するために行う作業です。
では、ポンプの動作後も水が出ないケースには、何を確認すれば良いのでしょうか。
本項は、水が出ない時の様々な確認事項を紹介します。
呼び水の量を確認
呼び水は、ポンプと配管内の空気を逃がし、内部を水で充満させるために行う作業です。
そのため、呼び水の量が少ないとポンプの力が水に上手く伝わらず、貯水槽から水を汲み上げられなかったり、エア噛みを起こして流れを阻害したりするケースがあります。
また、貯水槽とポンプが離れていると、水が排出されるまで少し時間が掛かります。
そこで、ポンプを起動後に水が出ないケースでは、設備の位置関係を考慮した上で、呼び水の量を確認すると良いでしょう。
フィルターの目詰まりを確認
水の経路に設けられているフィルターに目詰まりや大きなゴミが存在すると、配管内の水圧が下がり、水が出なくなるケースが見られます。
また、フィルターの目詰まりは徐々に進行していくケースが多く、意識的に水量を確認していないと気付きにくいと予想されます。
そのため、フィルターの定期的な清掃を計画し、目詰まりを予防すると良いでしょう。
外的要因を確認
ポンプを起動しても水が出ないケースには、ポンプや配管に原因があるケースの他にも様々な事柄があります。
例えば、貯水槽の水位が低下しており、ポンプの圧送が追いつかないケースや配管内の水が凍結しているケースなどがあります。
特に、寒冷地では配管内の凍結による原因も視野に入れる必要があるので、予めお湯を用意しておき、お湯を掛けながら水を流して解凍する方法も必要です。
また、今回紹介したケース以外にもポンプ自体が故障していたり、配管から漏れが発生していたりするケースもあるので、専門業者への連絡も視野に入れておくと良いでしょう。
呼び水とは?原理や方法から水が出ない時の確認事項までを解説!まとめ
今回は、呼び水に関する原理や方法からポンプを動作させたにも拘わらず水が出ないケースの確認事項を解説しました。
呼び水は、正常にポンプを動作させるに当たって必要な作業の1つです。
本記事が、呼び水の正しい方法や水が出ない時の確認に役立てれば幸いです。